
垂水区の擁壁付き住宅売却は?神戸市のがけ条例と安全性の確認ポイント
垂水区の高台にあるマイホームや、擁壁付きの自宅を将来売却するとき、がけ条例が関係してくるのか、不安に感じていませんか。
見た目には問題がなさそうでも、擁壁の種類や造られた経緯、許可や検査の記録の有無によって、売却のしやすさや価格、買主が建て替えるときの費用が大きく変わることがあります。
しかし、あらかじめポイントを整理しておけば、高台ならではの眺望や日当たりといった魅力を活かしつつ、リスクも丁寧に説明しながら、安心して売却活動を進めることは十分可能です。
この記事では、垂水区に多い高台・擁壁付き土地の特徴から、垂水区に適用される神戸市のがけ条例の基本、売却前に確認しておきたいチェックポイントまでを順番に解説します。
垂水区の高台・擁壁付き土地の特徴と売却の現実
垂水区は、海に面したエリアでありながら、山側に向かって高低差のある丘陵地が広がる地域です。
そのため、道路から一段高くなった宅地や、斜面を造成してつくられた住宅地が多く見られます。
こうした場所では、宅地を平らに保ち土砂の崩れを防ぐために擁壁が設けられていることが多く、擁壁は宅地の安全を支える重要な構造物です。
擁壁付きの土地の売却では、買主は「今の家に住めるか」だけでなく、「将来建て替えるときに何が必要になるか」を気にします。
擁壁の安全性が確認できる土地であれば検討が進みやすくなりますが、古い擁壁で安全性が説明できない場合は、建て替えの際に擁壁のやり直しが必要になり、その費用を見込んで価格交渉されることがあります。
擁壁のやり直しは規模によって数百万円から、大きなものでは1,000万円を超えることもあり、売却価格に大きく影響します。
このように、擁壁付きの土地は「条件が整えば選ばれるが、条件次第で敬遠されやすい」という現実があります。
擁壁には、鉄筋コンクリート造、コンクリートブロックや石を積んだ練積み造などがあり、構造や強さが異なります。
特に、石を積んだだけの空石積みの擁壁や、古い擁壁の上にブロックを積み増した擁壁、二段になった擁壁などは、安全性を確認しにくく、建て替えの際に問題になりやすい擁壁です。
まずはご自宅の擁壁がどのような造りかを把握しておくことが、売却を考えるうえでの出発点になります。
| 確認項目 | 主な内容 | 売却への影響 |
|---|---|---|
| 擁壁の種類 | 鉄筋コンクリート造・練積み造・空石積みなど | 安全性の説明のしやすさ |
| 造られた経緯 | 宅地造成の許可や検査を受けた擁壁か | 建て替え時の措置の要否 |
| 現在の状態 | ひび割れ・ふくらみ・水抜き穴の状態 | 補修やり直しの可能性 |
垂水区に適用される神戸市の「がけ条例」のポイント
がけの近くに建物を建てるときのルールは「がけ条例」と呼ばれ、兵庫県には兵庫県建築基準条例がありますが、垂水区を含む神戸市内では、神戸市独自の「神戸市建築物の安全性の確保等に関する条例」の第20条が適用されます。
インターネット上には兵庫県の条例の内容を紹介した記事も多いため、神戸市内の土地では神戸市のルールを確認することが大切です。
以下は、神戸市が公表している「がけ条例のご案内」(令和7年4月)の内容をもとにしたものです。
条例の対象になるのは
神戸市では、敷地の中や周りに1メートルを超える高低差がある場合、建物を建てるときにがけ条例の検討が必要になります。
「がけ」とは、角度が30度を超える斜面で、高さが1メートルを超えるものです。
がけの上に建てる場合は、がけの下の端から30度の線より上の範囲に建物の部分があると対象になり、がけの下に建てる場合は、がけの中心から建物までの距離が、がけの高さの1.5倍未満だと対象になります。
対象になると必要な措置
がけの上に建てる場合は、建物の基礎を深くして、がけの下の端から30度の線より下まで届かせる(根入れする)ことが求められます。
ただし、宅地造成の許可を受けた擁壁の上に2階建て以下の木造住宅などを建てる場合や、構造計算などでがけの安全性が確認できた場合は、この措置が不要になります。
がけの下に建てる場合は、建物を鉄筋コンクリート造にする、擁壁などを設けるといった措置が求められますが、がけの高さが2メートル以下の場合や、宅地造成の許可を受けた擁壁の場合などは不要です。
いずれの場合も、がけの安全性が外見上確保されていることが前提で、安全性が確保されていなければ、擁壁のやり直しや補修が必要になります。
つまり、宅地造成の許可を受けて検査に合格した擁壁かどうかが、建て替えの負担を大きく左右します。
神戸市では、宅地造成の許可や検査済の記録を建設局の防災課で台帳として管理しているため、過去の造成の履歴を調べることができます。
がけ条例の相談窓口は、神戸市建築住宅局建築指導部建築安全課です。
| 項目 | 神戸市のがけ条例の内容 | 所有者が確認したい点 |
|---|---|---|
| 対象 | 30度を超え、高さ1メートルを超えるがけ | 敷地の中や周りの高低差 |
| がけの上に建てる場合 | 基礎を30度の線より下まで根入れ | 許可を受けた擁壁の上なら木造2階建て以下は不要 |
| がけの下に建てる場合 | 鉄筋コンクリート造にする、擁壁を設けるなど | 高さ2メートル以下や許可を受けた擁壁なら不要 |
| 擁壁の履歴 | 宅地造成の許可・検査済の記録 | 神戸市の台帳で確認できる |

擁壁付きの自宅を売却するときのチェックポイントと注意点
まず確認したいのは、擁壁の今の状態です。
ひび割れ、鉄筋の露出、目地の開き、擁壁のふくらみや傾き、水抜き穴が詰まっていないかなどを確認し、写真で記録しておくと、後の説明に役立ちます。
気になる点がある場合は、売却前に専門家に見てもらうと、買主への説明材料にもなります。
次に、擁壁と建物に関する書類の有無を確認します。
宅地造成の許可や検査済の記録、開発許可の記録、擁壁の確認申請や完了検査の記録がそろっていれば、擁壁の安全性を説明しやすくなります。
書類が手元になくても、神戸市の台帳で調べられる場合があるので、あきらめずに確認してみましょう。
建物の建築確認済証や検査済証も、あわせて探しておきます。
さらに、土砂災害警戒区域などの指定も事前に確認しておきます。
土砂災害警戒区域や、宅地造成及び特定盛土等規制法による規制区域に入っているかどうかは、売買の際に重要事項として買主に説明される項目です。
神戸市や兵庫県が公開している地図で確認できるので、売主としても早めに把握しておきましょう。
| 確認項目 | 主なチェック内容 | 売却時のポイント |
|---|---|---|
| 擁壁の現況 | ひび割れ・ふくらみ・水抜き穴 | 写真で記録し、必要なら専門家に確認 |
| 書類の有無 | 宅地造成の許可・検査済・建物の検査済証 | 手元になければ市の台帳で調べる |
| 区域の指定 | 土砂災害警戒区域・盛土規制法の区域 | 公開地図で早めに確認 |
垂水区で擁壁付き住宅を安心・有利に売却するための進め方
まずは、ご自身で集められる資料を一つずつそろえます。
建物の建築確認の書類や図面、購入時の重要事項説明書、過去の修繕記録、擁壁やがけの様子が分かる写真などです。
購入時の重要事項説明書には、擁壁やがけ条例について説明を受けた内容が書かれていることがあり、大きな手がかりになります。
次に、擁壁の履歴や安全性について、神戸市の窓口や専門家に確認します。
相談の際は、がけのおおよその高さ、擁壁の材質、建物との位置関係が分かる写真や図面を持参すると、具体的な助言を受けやすくなります。
建て替えの際に擁壁のやり直しが必要になりそうかどうかが分かれば、価格の考え方がはっきりします。
売却価格を考える際には、擁壁のリスクと安心材料の両面を買主に示すことが大切です。
擁壁の安全性やがけ条例について説明が不十分だったことで、売却後にトラブルになった事例もあります。
分かっていることを隠さず、資料と合わせて説明することで、買主も安心して検討でき、結果として価格交渉も進めやすくなります。
建て替え時の擁壁の負担が大きく、仲介で買主が見つかりにくい場合は、不動産会社による買取も選択肢になります。
| 整理しておきたい資料 | 確認・相談の内容 | 買主へ伝えたい安心材料 |
|---|---|---|
| 建築確認済証・検査済証・購入時の重要事項説明書 | がけ条例の対象になるか | 建物が適法に建てられていること |
| 擁壁の許可・検査の記録 | 宅地造成の許可を受けた擁壁か | 建て替え時の措置が不要かどうか |
| 現況写真・修繕記録 | 区域の指定と擁壁の状態 | 劣化の状況と対策の履歴 |
まとめ
垂水区の高台や擁壁付きの自宅を売却するときは、兵庫県の条例ではなく、神戸市のがけ条例(神戸市建築物の安全性の確保等に関する条例第20条)が関係します。
神戸市では、敷地の中や周りに1メートルを超える高低差があると検討が必要になり、宅地造成の許可を受けて検査に合格した擁壁かどうかで、建て替えの負担が大きく変わります。
擁壁の種類と状態、許可や検査の記録、区域の指定を事前に確認しておくことで、価格の根拠やリスクの説明がしやすくなります。
当社では、擁壁付き住宅の売却について、資料の整理や確認の進め方から、仲介で売りにくい場合の買取まで、まとめてご相談をお受けしています。
「うちの擁壁は大丈夫かな」「売却できるのか不安」という方は、まずはお気軽にご相談ください。